田中（仮名）とまじめな話

知り合いがTシャツとかバッジを作ろうとしているのに、そんな儲からない仕事よりお金を出すから犬の餌の加工業をやらないかと言われたらしい。
Tシャツとかバッジを作った場合は予算10万円、犬の餌だったら設備投資も含めて何千万の話である。

私だったら犬の餌を作って資本力を蓄えてからTシャツとかバッジを作る道を選択するのだが、若い田中の意見も聞いてみたかった。

ただ、このまま話をしても田中には難しいだろうから、田中にもわかる具体的な例え話を始めた。

「例えば田中くんが少ない予算で、今までにないようなおもちゃ屋を始めようとしています。でも売れるかどうかはわかりません。その時にJさんが『パチンコ屋のドル箱をデザインしたらお金を出すよ。』と言ってくれたらどうする？」
田中は答えた。「まずはドル箱を作って予算を増やしてからおもちゃ屋をやります。」

珍しくまともな答えだ。ただしJさんはよく知っているので同じ状況で例え話をもう一つした。
「Jさんの社長が『パチンコの球を磨くと1個につき1円。10万個だったら10万円出そう』と言ったらどうする？」

田中は身を乗り出し目を輝かせて言った。
「もらえるんですか？！やります！！何万個でも磨きます！！」

だから例え話だって言ってるだろ！