顔を隠す田中（仮名）

4月だというのに天気が安定しなくて寒い日が続いている。
雪が降ったり風が強かったりする。

夕刊の配達から戻った田中がポーズを取りながら言った。

「いやあ、アラレが顔に当たって痛いのなんの。こうやって顔を隠して自転車で来ました。」



「何で左手で隠さないの？」

「自分、チャリは左手じゃないと片手で乗れないんですよ。」

まあ確かにそういう理由は納得できる。

「じゃあ、ちょっと下向いて乗ればいいじゃん。」

「自分まっすぐしか見れないんで、それじゃあ危険なんですよ。」

うーん、確かにこの理由も田中だったら納得出来るかも。