田中（仮名）の寄せ書き

私の遊び仲間が仕事のため他所へ行く事になったので集まっていた。
彼は仲間から色紙と送別品をもらっていた。
彼の弟が色紙に寄せ書きしてもらっていたようだ。



今日中には引っ越しているはずである。
新しい勤務地でも頑張って欲しい。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

私たちは単純にその兄弟を『お兄ちゃん』『弟』と呼んでいる。

集まりにお兄ちゃんが現れる1時間くらい前、私は色紙に寄せ書きを書いていた。
前の日に弟が店にやって来てお願いされていたのだが、書いている時に田中の寄せ書きがない事に気付いた。

田中は[某中古販売店でパチスロをやりたい]という理由で集まりには不参加である。
『お兄ちゃんがしばらくいなくなるっていうのに田中くんは集らないんだ？』と責めた結果、貼付けるという田中らしい方法で寄せ書きに参加する予定だったのだが、どこにも田中の寄せ書きはない。


「あれ、田中の寄せ書きは？」


「えっ、『店長に持ってきてもらって』って言って田中くんに預けましたよ。」


もちろん私はそんな事を全く聞いていない。


結局、お兄ちゃんに渡した色紙には田中の寄せ書きが貼られる事はなかったのだが、今日になって田中の書いた寄せ書きが見つかった。
レジの脇に散らばっていたのだが、やっぱり貼らなくてよかったような気がする。





こんな物、貼れるか！


P.S お兄ちゃんへ。一応送りましょうか？