田中（仮名）のバイト代

今日は日曜なのに田中は休んでいる。
ボランティアスタッフだけあって珍しい事ではない。
特に田中がいなければ困るという仕事もないので、土曜、日曜、祝日でも休みたいと言えば休んでもらっている。

田中はボランティアスタッフではあるが少しだけバイト代を渡している。
当然、稼ぎ時に休むような男なのでバイト代というのも微々たるものだ。

だが最近一つだけ困る事があった。
肩を揉んでもらう事が出来ない事だ。
やはり器械のマッサージ器と違い人間がやる方が気持ちいい。

最初はヘタくそだった田中も今ではかなりのテクニシャンである。
肩もみをしているうちに親指の力がすごくなったようで、テープの貼ってあるガチャガチャのカプセルでさえパパパッと開けてしまう。

今では田中にバイト代を渡す時は『バイト代』と言わず『マッサージ代』と言って渡している。


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田中（仮名）の履歴書

田中もいよいよ就職の準備という事で履歴書を書き始めているようだ。
明日までに提出しなければならないというので、いつものビリヤード場で田中は書いていた。
赤い字は先生にチェックされた箇所であるが、もう一つ間違いに気づいた。

弘前私立と書いているが、田中の卒業した高校は私立弘前○○工業高校であり弘前はつかない。
字が汚いのは仕方ないと言えば仕方ない。
自分の卒業した高校を正確に書けないというのもどうかと思うが、ビリヤード場で履歴書を書いている田中はどうかと思う。

猛威を振るう田中（仮名）ウィルス

今回は私が愛知万博に行った時や東京に田中を連れて行ったにもお世話になったK姉さんからの情報である。

K姉さんはゴールデンウィークに地元弘前に帰って来ていて田中にも会っている。
このコーナーを読んでいる皆様は覚えていると思うが、田中は風邪のためにゴールデンウィーク中に３日間も休んでいる。
忙しい時には店にいないという恐ろしい男だ。

K姉さんはゴールデンウィーク中に風邪を引き名古屋に戻った。
当然、田中ウイルスを移された可能性がある。
そのウイルスが今度はK姉さんの職場の人間にも伝染したようである。

K姉さんの職場では風邪をひいた人間が『田中のせいだ』と言っているそうだ。

日本全国で風邪をひいたら『田中のせい』と言われる時まで遠くないような気がする。

インテリ田中（仮名）

ある日、田中がダテメガネをかけて来た。



「どうしたの？そのメガネ。」

「姉ちゃんからもらいました。」

田中は言ってる間もかなりメガネの位置を気にしている。

「ちょっとは頭いいように見えませんか？」

気持ちはわかるのだが、メガネはかけていてもいつものダラダラした格好なので頭がよく見えるはずもない。それでも『ちょっとは頭がよく見える』と言っておいた。

その日は一日中メガネを気にしていた田中であったが、翌日からこのメガネを見かける事は全くなくなった。
田中にインテリは無理だったようだ。

田中（仮名）のへそくり

田中のへそくりを見つけた。
でも袋にへそくりって書いてちゃダメだろ。

田中（仮名）のカスタム

昨日、田中はバイク（原付のスクーター）で出勤したのだが、夜になって雨が降り出した。
田中のバイクはカスタムしてあり水に弱い。

「ちょっといいですか？」と言い残した田中は、バイクに何かしに行ったようだった。

仕事が終わり帰る時に見た田中のバイクがこれだ。



プチプチでの防水加工。まあ、無いよりはマシなような気もするが、普通はカスタムする時に雨が降った場合の対策もしていると思う。
そんな田中でも三級整備士の資格は持っている。

田中（仮名）の就職

田中も来年は就職ということで就職活動を始めている。
近々、某大手自動車メーカーの面接を受けるらしい。

田中が企業の説明会に行った後に会話していた。

「内定してもその後に整備士の2級に受からないと『要らない』って言われるんですよ。」　

「難しいの？」

「はい。でも落ちたとしても自分は行きますよ。」

いや、うちと違ってそれは無理だと思うぞ！

田中（仮名）とマルマインプレート

商品が入荷してきたので店頭に並べていた。

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このディスプレイボックスの中にはセサミストリートのメラミン（プラスチックみたいな素材）の皿が１０枚入っていて、左に英語でメラミンプレートと書いてある。田中はその箱を見て言った。

「この中に地雷探知機が入っているんですか？」

「はっ？？何で」

「だってマルマインプレートって書いてあるじゃないですか？」

「マルマインプレートって地雷探知機なの？」

「確か何とかマインだったと思います。」

翻訳ソフトで調べてみると地雷は英語でA mineと言うらしい。

あまり役に立たなそうな事は覚えている男であるが、エルモの写真がついた箱の中に地雷探知機が入っていると考えられる事の方がスゴいと思う。

田中の肩もみ

その日はあまり肩が凝っていないようだったが、とりあえず田中に肩をもませた。
前にも書いたと思うが田中は肩もみがうまいので、ついついお願いしてしまう。
個人的にはマッサージ関係に就職したらいいのになあと思っている。

「田中くん、今日はそんなに凝ってないだろ？」

「おっ、今日は動きがいいですね。」

「何の？」

「自分の手です。」

「....。」

本当に疲れている時には呼びたくないマッサージ師になりそうである。

田中（仮名）とFAX

ある日、出勤したらA4サイズくらいの白紙が落ちていた。
『何だろうな？』と思い拾い上げると、それは何も書いていないFAX用紙だった。

・・・・・・・・・・・・・・
私は昨日の事を思い出していた。
運送会社に出かけていた時に田中から電話がかかってきた。
「FAXの紙が無くなりました！用紙ってどこにありましたっけ？」
「パソコンの机の下にあるよ。」
「はい、わかりました！！」

田中はFAXが大の苦手である。送信する時に紙を詰まらせてしまうのである。
何度やっても出来ないのでFAXの送信は私の仕事である。
ただし今回のように私の外出中に用紙が切れた時のために変え方は教えてあった。
失敗しながらも2,3回は交換しているので今回は大丈夫だろう。

店に戻った私は田中に聞いた。
「FAX大丈夫だった？」
「はい！何とか大丈夫です。」

FAX付きの電話を見るとちゃんとセットされているようである。
苦手な事もちゃんとこなせる田中に成長を感じた。
・・・・・・・・・・・・・・

以上が昨日の事だ。
だとするとこの落ちていた白紙のFAX用紙は何だろう？
私はFAX付き電話にセットした用紙を確認してみた。
「やられた！」
見事に表と裏が逆である。
さすがに見た目だけでは気づかなかった。

ちなみにFAX用紙をセットする場所には、誰でも間違いなくセット出来るように下のような絵が書いてあるが、田中は電話機メーカーさんでも想定外だったようだ。



その後、私は心当たりのあるメーカーや問屋さんに電話した。
「今日のお昼ころまでにFAX流しました？」
「いや、流していないみたいですね？どうしました。」

10数年もお店をやっているのに『FAX用紙の表裏を間違ってセットしちゃって』なんて言うのはとても恥ずかしかったぞ！田中！！