田中（仮名）の風邪の治し方

なかなか風邪が治らなくて2日間休んだ田中に聞いた。
「ちゃんと風邪薬飲んでるか？」
「いや、全く飲んでいません！」
「何で飲まないの！？」

「いや自己治癒で治してみようと思って」

それはたっぷり寝て安静にしてたら治るかもしれないが、学校にも行き新聞配達もしてる田中が治るわけがない。

田中（仮名）と雪かき

この日の弘前市はとんでもない雪が降り積もり、出勤するなり除雪作業が始まった。新聞によると観測史上2番目の積雪だったらしい。
風邪のため2日間休んでいた田中も出勤してきたので、2人がかりで雪片付けをしていたが作業は11時〜12時まで続いた。（ちなみに私は10時30分から）

日曜日なのにまだ一人もお客さんが来ない。たぶん雪かきしているのであろう。
雪を捨てるスペースを拡大するためどんどん上に積めるようにしていった。
場所は以前田中がかまくらを作った所だ。
こうして出来上がった雪捨て場がこれである。


写真ではわかりにくいが目線はバスの屋根より高い。
この上で田中はスコップをマイクに演説を始めた。

「私は昨日と一昨日、風邪のため休みましたが、今日はその分を挽回するために一生懸命働かせていただきます。」

とてもいい心がけであったが、この日の夜、風邪を悪化させた田中は早退した。

田中（仮名）の風邪

田中が出勤してきたが、明らかに風邪のようであった。
うちの店では風邪ひきはすぐに返す事にしている。
「田中、お前風邪だろ？」と聞くと、鼻のつまった声で答えた。
「鼻水は出るし、頭もボッーとするけど風邪じゃないです。」

風邪をひいていても田中の言う事は意味がわからない。
風邪の症状を認めつつも風邪じゃないと断言出来るのはなぜ？
「いや、それ絶対風邪だろ！？」と言うと田中はあっさりと答えた。

「でもセキは出ないですよ」

『バカは風邪をひかない』というのは、自分が風邪をひいているのがわからないという事だとこの時わかった。

田中（仮名）の独り言

新店舗には白黒ではあるがカメラが設置されていて音声も拾う事が出来る。
パソコンが2階の部屋にあるので入り口が開くと、音とモニターで確認する事が出来る。

昨日の閉店時、外のガチャガチャの器械と看板を閉まった田中に言った。
「ガチャガチャと看板をそうやってバラバラの場所に置くと、開ける時に大変だからどっちかに寄せて置いてくれる？」

私はパソコンを消すため2階に上がるとHちゃんが笑っていた。
「いま田中くんが『そういえば、新店舗でお店を開けた事ない』と独り言を言ってました。」

田中がブツブツと独り言を言ってるのは知っているが、今後はもっとネタを提供してくれるに違いない。

田中（仮名）のメール

引っ越し作業時の話である。
田中と一緒にゴミ処理場へと向かっていた。
旧店舗を空け渡すまで残り3日くらい。
まだ残っている荷物で引き取り手が決まっている物は、いつ引き取るのか聞いておかなくてはならない。
助手席に座っている田中にメールで連絡するのを頼んだ。

田中はしゃべりながらメールを打ち始めたので「黙ってやれ！」と言ったのだが、それは出来ないと言う。気が散るのだがしょうがないのでそのまま続けさせた。

『み・っ・き・ぃ・さ・ん・て・ん・じ・て・ん・し・ゃ...』

「、（てん）」くらい黙って打てばいいのにうるさくて仕方ない。