開封する田中（仮名）

今日はものすごく忙しいうえに商品が入荷して大変だった。
箱ものの商品を開封してセットを作るのは最近の田中（仮名）の最も重要な仕事である。
今日も新作でノーマル6種+シークレット1種の7種でフルコンプの商品を田中はセットにしていた。96個入りのダンボールをすべて開封するのだが、私は店頭に出ていたため内容を全く見ていない。
セット作りを終えた田中がやってきたので内訳を聞いてみると「シークレット込み7種セットが5セット、ノーマル6種セットが4セットできました。」と答えた。田中も慣れたもので私に聞かれると思ってしっかり調べて報告した。感心、感心。
この手の商品は当然余りも出るので聞いてみると「余りは××が2個、××が3個、シークレットが1個です。」
シークレットが余るのかぁ〜。んっ？あまりにも完璧に答えたのですぐにはその違和感に気づかなかったのだが、ノーマル6種セットにシークレットを足したらシークレット込み7種セットが出来るだろうが！！
田中よ！面白い。だが、そんなボケはヒマな時にやってくれ！今日は昼飯を夜8時に食うくらい忙しかったんだぞ！

デジタルじゃない田中（仮名）

前回デジタルな田中（仮名）と書いたばかりだが、壊れかけのデジタルなのは言うまでもない。
当店にもバイト割引のような物があり田中にも割引する。だが彼の計算は間違っている。例えば15800円の10％引きだと14220円だがこれから20円を更に引く。なんで20円引くのか聞くと「キリがいいから」と平気で答えた。
ある日、いつも値切ろうとするK氏が来て田中に交渉させてみた。このK氏は電気屋で発売したばかりのパソコンを2時間に渡って値切り、「今度、友達を連れてくる」と言ったら「勘弁してください」と言われた強者だ。
私たち凡人には理解できない交渉が延々続き最後にはK氏が諦めて交渉不成立となった。
田中の意外な使い道がわかったような気がするが、売り上げには全くつながらない。

デジタルな田中（仮名）

田中（仮名）に場所を指定する時は大変である。

私のパソコン部屋から奥には２部屋あり、田中は手前の部屋の壁は黒いので『黒い部屋』、一番奥の部屋はそのまま『奥の部屋』と読んでいる。
田中が勝手に名付けただけで誰もそう呼ばない。

『黒い部屋』には商品の在庫があって、『奥の部屋』には使わない什器や工具などを置いてある。

「奥の部屋に××の在庫があるから取ってきて」と頼むと「奥の部屋？？？」と悩む。
田中に説明すると「黒い部屋って言ってくれなきゃわからないじゃないですか！」と怒る。

お店は地下で１階の外の部分にダンボール置き場があるのだが、「上にある段ボール取ってきて」と頼んだ時には、その場で天井を見上げた。
田中は「外の段ボールって言ってもらわないとわからない」と言う。

デジタルな田中には単純な作業をひたすら続けさせるのが一番だと思った。

田中（仮名）の外食2

田中（仮名）は前回のラーメン屋でさらにやらかしていた。

「サービスはタダですか？」の後に、ここって禁煙かなあという話になり灰皿を捜していた。
そこで隣りのテーブルに灰皿を見つけた田中くんは、ずうっ〜とその灰皿を見つめていた。その熱い視線に気づいた隣りのおじさんは「すみませんねぇ〜」と話かけてきた。
「いやぁ〜、どうぞ遠慮しないで吸ってください！」
と田中は笑っていたがずっ〜と灰皿を見つめていた。
見かねたM氏が灰皿を取りに行ってきてくれた。

田中ー！よそのテーブルの灰皿を狙うのはヤメろ〜！
また一つ外食に誘われない理由がわかった。

田中（仮名）の外食

昨日、仕事が終わって田中（仮名）とM氏と3人でラーメン屋に行った。田中はファーストフード以外での外食は5年ぶりらしい。友達があまり誘ってくれないという事だった。
行ったラーメン屋の入り口には麺増量ORアイスクリーム無料サービスの看板が立っていた。
注文を取りに来たおばちゃんに「麺増量またはアイスクリームの無料サービス中ですがどうしましょう？」と聞かれて田中は言った。「サービスはタダですか？」
隣りのテーブルのおじちゃん、おばちゃんにも笑われていた。
田中が誘われない理由が少しわかった気がする...

捜索隊田中（仮名）

うちの店は小さいので発注数が少ない。
商品入荷後の夜にアップしてから帰宅、翌日の注文数をみてビビる事がある。その時は商品によってはコンビニなどで調達する事がある。その日も足りなくなって田中（仮名）にコンビニめぐりの特命をだした。田中は小回りのきく自転車なので、こういう時は役立つ男である。
「2,3軒コンビニまわったら電話ちょうだい」と田中に伝えて連絡を待った。待つ事約1時間、田中から連絡が来た。
「7軒行きましたがどこでも置いていないですねぇ」
「そうか、また2,3軒まわったら連絡くれる？」
「はい！わかりました！！」
この時に7軒という言葉に気づくべきであった。7軒まわるという事はかなり遠くまで行ってるという事である。大体にしてそれだけ廻っても無いという事はコンビニに置いている可能性はかなり低いという事である。コンビニは無限にありそうだが田舎だとコンビニとコンビニの間がちょっと長い。
大急ぎで田中に電話したが出ない。たぶんチャリで全力疾走中である。更に1時間待って電話が来た。
「7軒まわったけど置いていません。」
「すぐ戻れ!!」
帰りの時間も合わせて約2時間30分、後で調べると10キロ以上をママチャリで走破していた。
田中くん、今回は聞き逃した私も悪いが諦めも肝心だぞ!!
普通はママチャリでそんなに走りません。

田中（仮名）にみやげ

私は6月に愛知万博を見に行く予定なので、お土産は何がいいか田中（仮名）に聞いてみた。
「カステラ!!」

最近はこのくらいの答えじゃ驚きません。えー、確かに名古屋でもカステラは売っていると思います。私の顔を見て察した田中は言った。

「明太子がいいですね。」

漬け物とか辛いものが食えないのに食えるのか？明太子も違うと察した田中は更に続けた。

「名古屋の名産ですよね？名古屋と言ったら長崎県だから〜」

なるほど確かにカステラをリクエストするわけです。
将来に差し支えると思ったので名古屋は長崎じゃないと教えると

「そうですね。広島でした。」

と答えた。バカらしいんで話はそこで終わってその日の夜に続く。

久々に来たO氏は今週末に仙台に出張だそうだ。
お土産買ってきてもらいなと田中に言うと自信たっぷりに答えた。

「いのち買って来てください。」

『いのち』は地元弘前のお土産だっつーの！

田中（仮名）の飲み物

田中（仮名）は苦い飲み物がダメだそうだ。
お茶、コーヒー、ビールなどは全然飲めないが、コーラなどの炭酸飲料はよく振ってから飲むのだったら好きらしい。一番、好きなのはカルピスだそうだ。

ゴールデンウィークにコーヒーとお茶を差し入れに貰い、田中はお茶を選んだ。飲んだ時の顔は私の表現力だと伝える事は不可能であるが、お笑い芸人が激マズな料理を食べた時のリアクションと同じである。
それでも「もらった物は全部飲まないと失礼だ」と言って３日かけて500MLのペットボトルを飲み干した田中は偉い。

ある日、休憩室にジュースの缶が飲みかけで放置されていて、その中にはカルピスの少しだけ残っている缶もあった。「田中、片付けろよ。まったく」とか思いながら私はそれらをすべて片付けた。
その日の夕方、バイトに来た田中に私は言った。
「田中、昨日カルピス片付けないで帰ったろ」
「はい」
「ちゃんと飲んだら捨てていけよ」
そこで田中は言った。
「えっ、まだ残っていませんでした？」

残っていた量は振ってみないと確認できない量であり、それもペットボトルではなく缶のカルピスである。他はすべて捨てる缶なのにその中に放置したカルピスをお前は飲むと言うのか？

田中、他の缶にはたばこの灰が入っている物もあったぞ。せめて冷蔵庫に入れておけ！

エロ田中（仮名）

田中（仮名）も思春期の男であるからエッチな事に興味があるらしい。昨日、隣りの部屋でエロ本の処分方法に関するM氏と田中の会話が聞こえてきた。

「学校の廻りに捨てておくといつの間にかなくなるよ」とか
「台風の時なんかに窓からちぎって飛ばせばいいんだよ」など
M氏も無茶苦茶な事を言っている。

田中が話しだした。
「いつもはお婆ちゃんがやるんだけど、お盆の迎え火ってあるじゃないですか？あれで一緒に燃やしちゃいました」
「でもあれって全部燃えないよね？」とM氏。
「そうなんですよ！次の日におばあちゃんに呼ばれて『かっちゃん、エッチな本燃やしたでしょ！天国にいるおじいちゃんがなげくわよ』って怒られちゃいました。」

しかし、田中は１日で燃やしきれなかったので２日かけて約30冊のエロ本を燃やしたそうだ。その中には処分料1冊20円で請け負った友達のエロ本も含まれているらしい。

田中よ。お爺さんは間違いなく喜んで帰ってきたと思うぞ！

田中（仮名）をほめる

田中（仮名）は意外な事に写真を撮るのがうまい。
新入荷商品の写真はほとんど田中である。
田中は掃除もうまい。
徹底的にやるのでかなりきれいになる。
田中は梱包もそこそこうまくなってきた。
ひとつの事を徹底的にやらせると成果が出るようである。

ただ、一つの写真を何枚も写すので入荷数が多い時など編集する私は大変であり、
掃除も一つの場所に時間がかかるので見た目はあまり変わらない。
梱包に使うガムテープやエアパックなどは私も近くに放置しておくのだが、
田中も適当に放置しておくので私が捜す時に時間がかかる。
結果、私の仕事量にあまり変わりはないが、一部分だけが少しずつ地味にきれいになっている。田中よ！今回はほめているぞ！