友人Sその後

先日も書いた友人Sのその後である。

久しぶりに会ったSは相変わらず車暮らしが続いていた。
前に書き忘れていたがSの車はそれほど大型ではない。
1BOXではあるが軽自動車より少し大きめのサイズである。

前に見た時とは違い車には生活感が溢れていた。
寝袋は必需品としてなぜかギターまで積んでいる。
寒くなったので車内で炊事もするそうである。

ただこの炊事中に大惨事になりそうだったらしい。

「鍋焼きうどん食おうと思ったのね。でさっ、ちょっと上の位置にガスコンロがあるんだけど鍋がひっかかってさ。ガスコンロが転がったのよ。」

車の中でガスコンロを使う事自体がどうかと思うが、Sは更に話し続けた。

「でっ、ガスコンロから液状の物が広がって、ふわーっと火が着いちゃってさ。俺ここで死ぬのかな？でも新聞に載ったら理由がカッコ悪いよなあとか考えながら、フッって吹いたら簡単に消えてさ。」

Sは笑いながら恐ろしい事を話した。

「でさ、この前調べてもらったアパート見てみようかなあって思って。」

鍋焼きうどんがキッカケでアパートを借りようとするヤツは珍しいと思う。